S&Msの活動を開始してまもなくの頃、私たちを指導してくださっていたウイングメーカーはWon-Mさんという方だったのですが、彼から「これまで電子書籍としてリリースしてきたものを、紙媒体の本として世に残しなさい」という依頼を受けました。
Won-Mさんはその理由を明確には説明しなかったのですが、これまでの経緯から、近未来に『ウエザーコンポーザー』のキルショットのような地球規模の巨大災害が起こり、電子機器が使用不能となる、あるいはインターネットが破壊される可能性があり、リリカスの情報を後世に伝えるためなのだと私は瞬時に理解しました。
そのタイムラインを修正すべく私は活動しているので、その災害は土壇場で回避できる可能性も残っています。タイムラインが変わったとしても、キンドルやPDFのフォーマットが次の世紀で利用可能かは不透明で、紙媒体の方が確実に残せるのでしょう。
Won-Mさんの依頼を実行に移すべく、『コペルニクス』をリリース後、紙媒体化プロジェクトを開始しました。
第1弾としてウイングメーカー・アンソロジー「リリカス・ティーチング・オーダー」 Invitation for the Grand Portalを上梓しました。

前半は、電子ブック版のコンテンツを収録していますが、後半は紙媒体の本の特典をご用意しております。ウイングメーカーの情報は膨大で、ひとつの概念を伝えるのに、様々なテキストに分散されて書かれており、それらを統合する必要があります。その統合を円滑にしつつ、他のマテリアル(WM三部作やリリカス対話篇、各音楽CD)にも自然に興味が向くようデザインされています。グラフィカルな構成で、直感的につかめるよう配慮しました。最重要タームである「グランドポータル」に関する洞察が深まることを願っています。
Won-Mさんは、私が書くものが300年間、読み継がれると言っていました。
300年なんて、そんな大それた年月を正直、想像もできないのですが、おそらく未来に何らかのイベントが起こり、リリカスの情報が再評価されるのかもしれません。
ここで読者の皆さんに、ささやかなお願いがあります。お読みになったリリカス/ウイングメーカーの本を、地元の図書館に寄贈して頂きたいです。(1冊は個人の蔵書用、1冊は図書館への献本用として頂けると嬉しいです)
今後、私が世に遺す紙の本は主にペーパーバックとなる見通しのため、世紀を越えていくには耐久性に難点があります。図書館では、カバーをフィルムで保護して保管してくださる所が多く、300年先の未来にも贈ることが可能かもしれません。ウイングメーカーが遺したタイムカプセルのように。
